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The Sandbox メタバースのNFTゲームを解説

ザ・サンドボックス(The Sandbox)は、ブロックチェーンベースの仮想空間(メタバース)に分類されるコミュニティ主導型のNFTゲームおよびゲーム作成プラットフォームだ。3Dボクセル(ブロック)による仮想世界で、物や建物を作るなどさまざまなゲーム体験ができる。

 

元々のThe Sandboxは、2012年に米国とアルゼンチンを拠点とするゲームスタジオPixowlが携帯電話向けに開発した伝統的なゲームプラットフォームだ。Pixowlは、ゲームシリーズタイトルとしてThe Sandboxの開発を続けてきたが、2018年8月に中国・香港のゲーム開発会社Animoca Brandsがそれを買収した。

最新版のThe Sandboxは、Animoca Brands傘下でイーサリアムブロックチェーンを基盤とするメタバースプラットフォームとして開発が継続されている。

The Sandboxは、基本的にボクセルを使って構築されるクリエイティブな空間で、ブロック遊びのようにボクセルを組み合わせてキャラクター(アバター)やアイテム、建築物などをNFT(Non-Fungible Token)として作成できる。

ユーザーは「LAND(土地)」と呼ばれる土地を所有でき、現実世界のように不動産開発をすることも可能だ。LAND上では、デジタルアセットとしてNFTの構築や設置のほか、デジタルアセットを組み合わせたゲームの作成も可能で、他のユーザーにそれらをゲーム体験として提供することもできる。

LAND自体もNFTであり、The SandboxはこうしたNFTをすべてユーザーの資産として取り扱う。The Sandbox上のNFTは、ユーザー間で取引可能である。

また、The Sandboxはイーサリアムの共通規格であるERC-20に準拠したネイティブトークン「SAND」を持ち、これはメタバースで利用できる主要トークンだ。The Sandboxにおいてユーザーは、クリエイターとしてゲームのアセットやゲーム体験を収益化できるのが特徴のひとつである。

 

・The Sandboxの構成要素

The Sandboxは、ボクセルエディター「VoxEdit」、「マーケットプレイス」、「Game Maker」の3つの要素で構成された統合環境であり、これらを組み合わせることでメタバースプラットフォームとして機能する。

The Sandboxはユーザー生成コンテンツ(User Generated Contents、UGC)制作のためのツールであり、ユーザーが作成したコンテンツの著作権や所有権をブロックチェーンとスマートコントラクトによって確保することで、ユーザーがゲームで収益化することに成功した。

VoxEdit
無料で公開されているボクセルエディターVoxEditは、3DボクセルアセットのモデリングおよびNFTが作成できるパッケージだ。VoxEditでは、人間、動物、乗り物、アイテムなど、自分だけのボクセルモデルを作成することができる。また、アニメーションを作成しボクセルモデルに動きを付けることも可能だ。

マーケットプレイス
公開中のThe Sandboxのマーケットプレイスでは、ユーザーが作成したNFTの売買が行われている。すでに仮想通貨SANDを使った取引が可能だ。

VoxEditは、The Sandboxのマーケットプレイスにアセットをエクスポートすることのできる唯一のツールだ。NFT作品をアップロードすることで、作品はIPFS(分散型ストレージサービス)に記録され、所有権がブロックチェーンに登録されて初めて資産となる。それにより、マーケットプレイスにて売買できるようになる仕組みだ。

Game Maker
The SandboxのGame Makerは、ボクセルモデルを使って誰でも無料で3Dゲームが構築できるツールだ。プログラミングは不要で、ビジュアルスクリプトツールを使って数分で3Dゲームを作成可能だ。

 

・The Sandboxゲームでの収益化方法

The Sandboxは、主要トークンのSANDを中心としたエコシステムにより、ゲームを公開することで収益化できる点に注目が集まっている。The Sandboxでは、ゲームで遊ぶだけでなくユーザーはクリエイターとして活動することで、いくつかの方法で収益を得ることができるのだ。

その一つが、先述のVoxEditによるアセットの作成だ。アセットはNFTとしてマーケットプレイスで販売することができ、NFTの売り上げを収益として得ることが可能となる。

また、Game Makerを使ってゲームやインタラクティブな体験を構築し、他のユーザーに有料コンテンツとして公開することができる。

LANDを所有するユーザーはLANDを売買するだけではなく、所有するLANDをレンタルすることで収益を得たり、LAND上に自らコンテンツを構築することでLANDの価値を高めるなど、有料コンテンツとして公開することも可能だ。

 

・大企業もThe SandboxのLANDを購入

The SandboxのLANDは有限で、16万6464LANDの土地が存在し、それぞれがThe Sandboxのメタバースを形成するマップ上に配置されている。いうなれば世界地図のようなものだ。その一つの区画が1LANDにあたり、The Sandboxの基本単位になっている。

また、LANDには複数のLANDを組み合わせた企業向けのESTATEという大規模な区画も存在する。LANDは常に人気で、プレセールのたびにすぐに完売することから、The Sandboxの人気の高さが伺える。すでに多くのLANDがプレセールによって販売済みになっている。

日本の仮想通貨取引所コインチェックは、The SandboxのLANDを取得しており、近未来都市「Oasis TOKYO」を開発している。22年春に一般公開予定という。世界でも大手の仮想通貨取引所バイナンスは、4012LANDを取得しており、NFT作成コンテストを開催するなどして、コミュニティと交流を深めるのに利用すると発表している。最近では、世界4大会計事務所の一つPwCの香港支社が21年末、LANDを購入している。購入額や区画数は明らかにされていない。

ちなみにThe SandboxのアセットやLANDは、イーサリアムのNFT向けの共通規格であるERC-721に準拠したNFTである。The SandboxのLANDは、代表的なNFTマーケットプレイスのOpenSeaで、イーサ(ETH)による売買が行われている。

 

メタバース構築までのThe Sandboxの現在地

The Sandboxが目指している最終形態はメタバースだが、現在のThe Sandboxは一部の機能のみが公開されている状況だ。

現在のThe Sandboxでできるのは、VoxEditによるデジタルアセットの作成と、マーケットプレイスによるNFTの売買、またそれらのデジタルアセットを使用したゲームの作成に留まる。

また、メタバースで必要なアバターの作成も、すでにWebツールで作成が可能だ。事前登録アバターとして、複数のテンプレートアバターから1体を選択し、簡易的なカスタマイズで自分のアバターを用意することができる。

 

・限定公開されたThe Sandboxのメタバース世界

 

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The Sandboxは、2021年11月に期間限定でアルファ版「The Sandbox ALPHA」を公開した。3週間限定となったが、用意されたクエストをクリアしていきながらメタバースの世界観を体験することができた。

アルファ版では、ブロックチェーンゲームの新ジャンルとして期待されている「Play-to-Earn」の要素も含まれていた。Play-to-Earnは、GameFiの一つで、ゲームをプレイすることでトークン収益が得られるタイプのものだ。用意されたいくつかのクエストをクリアすることで、最大1000SANDの報酬といくつかのNFTを取得できるという内容だった。

2回目の期間限定公開The Sandbox ALPHA Season2は2週間のみ公開され、22年1月18日に終了した。今後の体験版公開のスケジュールは告知されていないが、メタバース体験を先取りしたければ、The Sandboxのツイッターやブログを確認するのが良いだろう。

 

・ユーザーが作成したゲームを試せる

VoxEditやGame Makerでは、デジタルアセットの作成やゲームの制作が可能だ。特にVoxEditでは、ユーザーによる秀逸なデジタルアセットがいくつも公開されている。

Game Makerはアルファ版ではあるが、VoxEditによって作成されたデジタルアセットやテンプレートで用意されているデジタルアセットを組み合わせて、ゲームの構築が可能になっている。また、ドラフトギャラリーに登録されている他のユーザーが制作したゲームで試しに遊んでみることも可能だ。まだメタバース体験はできないが、その雰囲気を味わうことはできるだろう。

 

・The Sandbox内資産がマーケットプレイスで売買可能

The Sandboxのマーケットプレイスには、販売中のNFTから現在制作中のNFTまで無数のデジタルアセットが公開されている。NFTは有名ゲームメーカーが作成したものから人気のクリエイターや一般ユーザーまで、さまざまなNFTが出品されており誰でも閲覧することが可能だ。

これらはSANDで売買可能なので、購入するもよし、また自身の作成するゲームのヒントにするもよし、クリエイターとしてゲームを作成する上での参考にもなるだろう。

マーケットプレイスでは、NFTのほかにもOpenSeaで取引されているLANDを閲覧することもできる。こちらは、あくまでもOpenSeaに出品されているもので、The Sandboxが直接販売するものではない。

 

・The Sandboxの主要通貨SANDとは

ERC-20準拠トークンのSANDは、仮想通貨取引所バイナンスのIEOプラットフォームBinance Launchpadを通じ、資金調達のために300万ドル(約3億1700万円)相当のSANDが販売され、すでに上場も果たしている。

SANDはThe Sandboxのエコシステムには欠かせないものであり、NFTの売買以外にもThe Sandbox内にてさまざまな用途に利用されている。

基本的なSANDの使われ方は、有料ゲームのプレイやゲーム内アイテムの購入、アバターやキャラクターを着飾るためのカスタムアイテムの購入などだ。また、SANDはマーケットプレイスにNFTをアップロードする際の手数料としても消費される。

SANDはゲーム内でステーキングが可能で、SANDを預けることでより多くのSANDを受け取ることができる。また、The SandboxではNFTのレアリティなど希少性を定義するためにGemsやCatalystsといったERC-20トークンが必要になるが、これらはステーキングを利用する以外に入手する方法がない。

さらにSANDはガバナンストークンとしても利用される予定だ。The Sandboxは、将来的にはDAO(自律分散型組織)を目指しており、DAOにより構築されたプラットフォームの意思決定の際にガバナンストークンとしてSANDが機能する。

SANDのステークホルダーは、コンテンツやゲームのクリエイターに対するThe Sandbox財団のグラント(助成金)の決定や、プラットフォームのロードマップにおける機能の優先順位などの重要な議題の決定に対する投票権として行使することができるようになるという。

ちなみに財団は、The Sandboxのエコシステムをサポートする役割を担っており、プラットフォーム上での高品質なインタラクティブコンテンツやゲーム制作を奨励するための助成金を提供するのが目的である。

財団はすでに15以上のゲームプロジェクトに助成金を提供し、100人以上のクリエイターに公開前のNFTの制作を許可している。助成金は、ゲームの質やメタバースの全体的な評価を高めるために役立っている。

SANDトークンは、SANDで行われた取引量の5%を取引手数料として徴収する。徴収した収益の50%は、SANDトークンをステークしたトークンホルダーへの報酬としてプールされる。残りの50%は財団に支払われる仕組みになっており、これらが助成金などの資金として使われる設計になっているのがSANDエコシステムの特徴である。

 

・SANDの価格動向

SANDの日本国内の上場はまだないが、The Sandboxはコインチェックと提携しており、同社のNFTマーケットプレイスCoincheck NFT(β版)にて、同社が保有するThe SandboxのLANDを販売している。

こうした動向から、SANDの国内取引所への上場も期待されている。SANDの時価総額(22年2月1日時点)は約38億ドルであり、仮想通貨の中で39番目の規模だ。現在価格は4.1ドルであり、最高値は21年11月29日の7.51ドルだった。

 

・The SandboxとDecentralandはどこが違うのか

ブロックチェーンベースのメタバースに「Decentraland」がある。

Decentralandは、2015年に開発がスタートした仮想空間とNFTを組み合わせたイーサリアムブロックチェーンベースのVRプラットフォームだ。メタバースを構築する際にICOにて2400万ドルの資金をわずか数十秒で調達し、多くの注目を集めた。

Decentralandは、LANDと呼ばれるNFT化された土地を基盤とする仮想空間を、アバターを使って歩き回ることができる。こうしたゲームの枠組みは、非常にThe Sandboxと似ているといっていい。あえてThe SandboxとDecentralandの違いを述べるとしたら、その発祥の違いだろう。

Decentralandは最初からメタバースを目指している。一方のThe Sandboxは伝統的なゲームが仮想空間を構築し、ブロックチェーン化することでメタバースへと進化してきた。基盤となるゲームがあるかないかの違いといっていいだろう。

また、The Sandboxはすべてボクセルで表現されていることから、見た目やブロック遊びのようなコンテンツの構築方法は、Decentralandと異なっている部分であるといえる。The Sandboxのコンテンツは、UGCの集大成といえることから、将来的にはメタバース上で体験できるコンテンツの雰囲気や体験は、大きく異なっていくのではないだろうか。

 

・The Sandboxの今後

Animoca Brandsの傘下でThe Sandboxを開発する子会社の一つTSB Gamingが、2019年にスクウェア・エニックスなどから仮想通貨を含む総額201万ドル(約2億2000万円)の出資を受けたことを発表した。

また、2021年11月にはソフトバンクVision Fund 2を中心とした投資家から9300万ドル(約105億円)の投資を受けたことも発表している。The Sandboxの月間アクティブユーザー数は急増しており、プラットフォーム上でのNFTの取引量が1億4400万ドルを超えたことが資金調達に影響を与えたという。

先述のThe Sandboxの財団が用意した助成金「Game Maker Fund」は、200万ドル規模の助成金ということも明らかになっている。2019年10月に設立されたファンドによる成果は、ATARIスクウェア・エニックスのライセンスゲームを含め、15以上のゲームプロジェクトが進行中であり、公開に向けて準備が進んでいるという。

イーサリアムをベースとする多くのブロックチェーンゲームは、高騰するイーサリアムの手数料が問題となる課題を抱えているが、The Sandboxも同様だ。The Sandboxは、イーサリアムのレイヤー2スケーリングソリューションであるPolygonネットワークへの対応を進めている。Polygonネットワークは、トランザクションコストを最小限に抑えることができるため、移行できれば手数料問題は解決に近づくことになる。

また、計画中のDAOも2022年には立ち上がる予定となっており、The Sandboxのメタバースの統合環境を構成する3つの要素が、いよいよ揃いつつある。メタバースが本格的に稼働する時期はもうまもなくというところまで見えてきたようだ。

 

 

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